2024年9月26日、とちぎ健康の森にて、目録授与式を開催いたしました。
今回、10月から開始される、「ライソゾーム病等新生児スクリーニング事業」への支援を行い、その目録授与式とともに、新たな新生児スクリーニングについてご説明いたしました。
■ 支援内容
2024年10月から、ライソゾーム病(ポンペ病、ムコ多糖症I型とII型、ファブリー病)と副腎白質ジストロフィーに対する拡大新生児スクリーニングが開始されます。本プロジェクトは、このスクリーニング事業に対し、500万円支援します。
拡大新生児スクリーニング:10月からパイロット開始、2025年4月から正式実施
■新生児スクリーニングについて
早期治療が必須な病気に対し、赤ちゃんの血液を採取し検査します。先天代謝異や内分泌疾患20疾患に行われてきました。難病への新たな治療開発により、早期診断が必須な疾患が増えています。
■先行実施した拡大新生児スクリーニングー脊髄性筋萎縮症と原発性免疫不全症
2022年から、筋萎縮進行し動けなくなる脊髄性筋萎縮症と、感染を反復する原発性免疫不全症の新生児スクリーニングが開始されました。栃木県は、この2疾患のスクリーニングを全国で最初に公費負担を開始しました。診断され、治療により正常発達が得られた脊髄性筋萎縮症患者がおります。
<これから開始されるスクリーニング対象疾患について>
ライソゾーム病とは
ライソゾームは、不要になった物質を廃棄、あるいは再利用するために分解処理する細胞内小器官。それぞれの物質に対応した約50種の酵素があリます。
ライソゾーム病は、ライソゾームで働く酵素の一つが遺伝子変異により作られなくなり、その酵素が分解する物質が蓄積し、ライソゾームが膨化、破壊されて、細胞が傷害されて起こる病気です。それぞれの酵素により、症状が異なります。
<ポンペ病>
グリコーゲンが分解できずに蓄積します。重症型は生後数か月以内に筋力低下、心機能障害等が進行し、幼児期早期に心不全、呼吸不全で死亡します。乳児期早期に酵素補充療法が有効ですが遅くなると効果が不十分になっていきます。
<ムコ多糖症I型>
結合組織の成分であるムコ多糖が分解されず、骨変形、関節拘縮、心弁膜症、肝脾腫、難聴、呼吸障害、知能障害等が乳児期早期から進行し、10歳前後で死亡します。乳児期早期からの酵素補充療法や、2歳未満での造血幹細胞移植が有効です。
<ムコ多糖症II型>
ムコ多糖症I型と同じ症状ですが、発症は乳児期後半から幼児期早期。生後早期からの酵素補充療法で骨変形等の改善、脳へ移行する治療も開発され、早期治療で知的発達も得られています。
<ファブリー病>
血管内皮や腎臓、心臓などに糖脂質が蓄積していきます。男子が典型的症状を示しますが、女性も発症します。学童期から、手足の痛み、発汗低下、腎障害、脳梗塞、心筋障害等が徐々に進行し、透析が導入されている方も多いです。早期の酵素補充療法や薬物療法が有効です。
■副腎白質ジストロフィー
小児大脳型は、幼児期から学童期に、大脳の情報を伝える神経繊維が集まっている白質という部分が変性し始め、発症後、急激に進行し、2年程度で寝たきりになります。発症早期の造血幹細胞移植が有効ですが、診断が遅れ、移植が間に合わないことも多くあります。
■ 新生児スクリーニングに関する講演会(予定)
講演会 「未来を守る新生児スクリーニング〜 子どもたちに輝く明日を!」
2025年2月15日(土)14時(予定)からライトキューブ宇都宮で実施準備中
本プロジェクトでは、小児医療支援にとどまらず、公益性の高い母子保健に対する活動や団体の支援、講演などの情報発信、医療従事者への助言、および資金面からの支援等も実施していきたいと考えております。
発達障害に対するPCIT法(Parent Child Interaciton Therapy: 親子相互交流療法)という家族への行動療法的指導の栃木県内でネットワークを作りを支援してきました。
今後の支援に向けて、皆さまのご援助をお願いいたします。
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