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【2025/02/15】講演会開催報告

先日開催された講演会「​未来を守る新生児スクリーニング〜子どもたちに輝く明日を!〜」には、多くの方にご参加いただき、新生児スクリーニングの重要性と今後の課題について深く考える機会となりました。

 

一人でも多くの命を救うために「障がいをいち早く発見し、早期治療につなげたい」――。先生方の熱意あふれる講演や、実際にスクリーニングを受けたご家族のリアルな声が響く、意義深い時間となりました。




 

新生児マススクリーニングの未来

 

新生児スクリーニングは栃木県から全国に広がった取り組みですが、「自治体ごとではなく、全国どこでも当たり前に受けられるべき」という声が多く上がりました。私自身もその意見に強く共感しました。

 

先天性の病気の発見には、生後30日以内という短い期間での判断が必要となります。そのため、出産直後の新生児マススクリーニングの重要性が改めて強調されました。また、スクリーニングを受け、早期治療を受けたお子さんとご家族が登壇し、当時の不安や実際に良かったことなど、リアルな経験談を共有してくださいました。こうした生の声を聞く機会は、学会のセミナーとは異なる、貴重な学びの場となりました。

 

医療従事者にとっては、臨床や論文、実験室での研究だけでなく、実際に救われた命を見ることが大きなモチベーションになるといいます。こうした活動を通じて医療の大切さを伝えていく使命を感じました。

 

また、読売新聞の記者からは、ご自身の家族が重度の障がいを持っている経験を踏まえ、社会の関心をどのように高めていくかについての提案があり、大変考えさせられる内容でした。

 

もちろん、医療資源には限りがあり、全てに予算をつけることが難しい現実もあります。しかし、適切な医療を提供することで、重い障がいを抱えることなく、普通の生活を送り、笑顔で過ごすことができる。その姿には強い説得力があり、新生児マススクリーニングの意義を改めて実感する講演会となりました。



 


第一部:これまでの新生児スクリーニングと新たな展開


1.新生児スクリーニングとは?


講師:村松 一洋(自治医科大学 小児科学) 新生児スクリーニングの基本的な仕組みと歴史、そして栃木県が果たしてきた役割について解説されました。


2.国の実証事業として開始された拡大新生児スクリーニング


<脊髄性筋萎縮症(SMA)のスクリーニングの可能性>

講師:木水 友一(大阪母子医療センター 脳神経内科) SMAの早期発見が治療開始のタイミングを大きく変えることを強調。新生児期に治療を始めることで、健常児と同じように成長できる可能性があることが説明されました。


<実際にスクリーニングを受けたご家族の体験談>

登壇者:瓦井さまご家族 新生児スクリーニングを受け、早期に治療を開始したことで、お子さまが元気に成長している様子が語られました。治療を受けるまでの不安や、現在の生活についても具体的な話があり、医療従事者や参加者にとって大変貴重な学びとなりました。


3.新生児スクリーニング実施にあたって


講師:高瀬 訓子(栃木県保健衛生事業団) 栃木県の取り組みと、新生児スクリーニングの普及に向けた今後の課題について説明がありました。


講師:成瀬 勝彦(獨協医科大学 産婦人科学) 産科の視点から「赤ちゃんの命を守り、悲しむ家族を減らす」使命について熱く語られました。


講師:安藤 奈々(読売新聞東京本社 医療部) 一般の人々に「新生児スクリーニングの重要性」をどう伝えていくべきか、メディアの役割と情報発信のポイントについて提案がありました。



 


第二部:新たに開始された拡大新生児スクリーニング


1.ライソゾーム病のスクリーニング


ポンペ病の診断・治療

講師:白石 秀明(獨協医科大学 小児科学) ポンペ病の治療は、スクリーニングによる早期発見が鍵となることが解説されました。


ムコ多糖症の現状と課題

講師:奥山 虎之(埼玉医科大学 ゲノム医療科) ムコ多糖症の新生児スクリーニングの進捗と、実施に向けた課題が提示されました。


ファブリー病のスクリーニング

講師:村山 圭(順天堂大学 難治性疾患診断・治療学講座 / 小児科学講座) ファブリー病の早期発見による治療の可能性が強調されました。


2.副腎白質ジストロフィー(ALD)スクリーニング


講師:下澤 伸行(岐阜大学高等研究院) ALDの新生児スクリーニングがどのように進められているか、現状と今後の展望が解説されました。



 


まとめ


今回の講演会を通じて、新生児スクリーニングの意義と、その先にある「救える命」について深く考えさせられました。


「全国どこでも当たり前に受けられる医療」の実現に向けて、今後もこの活動が広がっていくことを願っています。


ご参加いただいた皆様、ご登壇された先生方、本当にありがとうございました。













とちぎ子ども医療支援プロジェクト

​栃木県宇都宮市新町 2 丁目 1 番 1 0 号

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